バイナルフェンス

一戸建て住宅を購入する際には、家を取り囲む塀やフェンスの選択も重要です。かつての日本家屋では、ブロック塀が一般的でした。しかし現在は軽量で安全、かつ手頃な価格のフェンスが主流です。

フェンスの中でも特にプライバシーフェンスは目隠しフェンスとも呼ばれ、その名の通りプライバシー保護を主な目的として設置されるフェンスです。家族構成やライフスタイルに合わせ、様々な形状やデザインの商品が販売されています。

プライバシーフェンスの素材は何種類かありますが、この記事では近年日本で注目を集めている「バイナルフェンス」をおすすめしています。

プライバシーフェンスの用途、設置目的

プライバシーフェンスには、以下のような効果があります。これから新居を建てる予定の方や、現在のブロック塀が老朽化し新たなフェンスへの交換を考えている方は参考にしてみてください。

  • プライバシー保護

フェンスで目隠しをすることで、家屋や庭、物置などが外部から見えないようにします。特に玄関、大きな窓、テラス、勝手口、浴室の窓などは人目から隠したいと考える人がほとんどです。

  • 防犯対策

高いフェンスは、不審者の侵入防止に効果的です。フェンスを設置することで防犯意識が高く侵入しづらい家、という印象を与えます。一戸建て住宅は侵入窃盗の被害に遭いやすいと言われますが、フェンスには犯行を抑止する効果があります。

  • 精神面の安定

家や庭が周囲から丸見えの環境では、リラックスすることができません。フェンスで家を囲むことで、安心感が得られます。家ではルームウェアやパジャマなどに着替えて、くつろぎたいものです。

  • 安全対策

小さなお子さま、ペットなどが道路に飛び出したり隣家の敷地に侵入するのを防ぎます。また、車いす、ベビーカー、ショッピングカートのような車輪付き移動補助具が予期せず動き出し、道路に飛び出すのを防止できます。

  • 境界の役割

隣地との境界は地面に設置された杭で示されています。フェンスを建てることで、さらに隣家や道路との境界を明確にすることができます。

プライバシーフェンスがすすめられるライフスタイル

その家に住む人のライフスタイルにより、プライバシーを重視する度合いが異なります。以下のようなご家庭には、目隠しを目的としたプライバシーフェンスがおすすめです。

  • ガーデニングや家庭菜園が趣味で、人目を気にせずのんびり作業をしたい
  • テラスや庭に椅子やテーブルを置き、くつろいだりガーデンパーティを楽しみたいが道路を通行する人の視線が気になる
  • 子ども用の砂場やプールを置いたりドッグランを作ったりして、子どもやペットと庭で遊びたい
  • 洗濯物や寝具などは室内ではなく人目に触れずに屋外の太陽の下に干したい
  • 南向きの大きなベランダがあるが、人通りが多いので常にレースカーテンを閉めていなくてはいけない
  • 自宅の窓と隣家の窓が同じ高さのため、たびたび目が合うのが気まずく感じる

プライバシーフェンス設置の注意点

プライバシーフェンスは「主にどこにいる時のどこからの視線を遮りたいのか」を主眼として、高さ、フェンスの隙間、デザインを決めます。設置にはいくつかの注意点があります。

  • 高さ

ブロック基礎の上にフェンスを設置する場合は、建築基準法で2.2メートル以下と定められています。フェンス単体の場合は制限がありません。道路に面するフェンスは、家と道路の高低差によりますが1.7~1.8メートルが標準的です。

  • 隙間

フェンスには数センチの隙間が空いているのが一般的です。隙間が狭いほど目隠し効果が高くなりますが、圧迫感が出たり、風通しが悪くなることがあります。フェンスを薄いカラーにすると、圧迫感が軽減されることがあります。

隙間がほとんどない壁のようなフェンスは、不審者が庭に侵入しても外部から目撃されにくいデメリットがあります。その場合、下部を開けて足元は見えるようにして対処することができます。

フェンスには採光、風通し、防犯を考えた適度な隙間が必要です。外構業者の展示場、ショールームでサンプルを見ることで、隙間のイメージがわかります。

  • 隣家への配慮

隣家との間にフェンスを建てる場合は、施工前に隣家に工事のご挨拶に伺いましょう。突然のフェンス設置は、トラブルに発展しかねません。フェンス設置の目的、どのようなフェンスを建てるか、工事日程を説明し、ご理解を得るのがマナーです。

隣家にとっても、フェンスがプラスになることがあります。逆に今まで何もなかった場所にフェンスが建てられることで視界が遮られ、居心地の悪さを感じることもあります。

フェンスが隣家の日照、風通しの妨げになったり、圧迫感を与えたりしないかを考慮する必要があります。隣家へ伺う際には、施工業者のスタッフに同行してもらうのもよいでしょう。

プライバシーフェンスに使われる主な素材

従来のブロック塀に代わり、現在フェンスの素材で主流となっているのが、アルミ材、木材、人口木材、樹脂材などです。そして新たな素材として近年注目されているのが「バイナル」です。

バイナルフェンスとは

バイナルの英語綴りはVinyl で、日本語で「ビニール」を意味します。バイナルフェンスとは塩化ビニル(塩ビ、PVC)を素材にしたフェンスの総称です。

アメリカではすでに一般的なバイナルフェンスですが、日本では歴史が浅く、この20年ほどで需要が伸びてきました。以下にバイナルフェンスの特徴を説明します。

バイナルフェンスの特徴

バイナルフェンスがアメリカから輸入され、日本でも注目され始めた理由に、メリットが多くデメリットがほとんどないことがあげられます。

バイナルフェンスのメリット

  • 安全性

バイナルフェンスは軽量で中が空洞の、中空材という作りになっています。そのため地震や台風などの自然災害により倒壊、飛散したとしても、人体や他の建物へのダメージは軽いと考えられます。

  • 耐久性

バイナルフェンスは、木製や金属製にありがちな腐食や錆や破損がなく、メンテナンスフリーの素材です。汚れも簡単に拭き取れますので、忙しいご家庭でもお手入れが楽です。

  • 耐用年数

一般的な耐用年数は木製、金属製フェンスが約10年、ブロック塀が約20年と言われています。バイナルフェンスは30年ほど修理や交換が不要ですので、結果としてコストパフォーマンスがよい商品と言えます。

  • デザイン性

既製品以外にオーダーメイドも可能です。お好みに合わせたおしゃれなフェンスの構築ができます。サイズもコンパクトな部分フェンスから、敷地全体を囲む大型フェンスまで対応可能です。

バイナルフェンスのデメリット

  • 取扱業者が少ない

現在のところ日本では、取り扱っている業者がそれほど多くありません。そのため、施工業者が遠方になると、フェンスの輸送費やスタッフの出張費が割高になることがあります。

  • カラーバリエーションが少ない

バイナルフェンスの色はホワイトが主流です。濃い色はバイナルフェンスに適さないため、ホワイト以外は淡いカラーが数種類ある程度です。バイナルフェンスの特徴のひとつに、濃い色は太陽熱の影響を受けて変色、変形がしやすい点があげられます。そのため、安定性の高いホワイトがメインで採用されています。

まとめ

家は仕事や学業などの緊張から解放され、リラックスできる場となるのが理想です。近年は在宅ワークも増え、自宅で仕事をする人も珍しくありません。休息の場としても、仕事場としても、よい環境づくりのためにプライバシーフェンスがあると安心です。

様々な素材のフェンスのなかでも、「バイナルフェンス」はプライバシーを守りつつ、採光や風通しも考慮し、安全性とデザイン性の高いおしゃれなフェンスとして注目を集めています。